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『さすらい温泉 遠藤憲一』しずちゃんの代打で漫才披露! 天津・木村が相方役を好演

  • 2019年02月14日(木) 12:00:22
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 遠藤憲一が俳優を引退する決意で、派遣の仲居として各地の温泉で働いている。そんな設定のちょっとだけドキュメンタリー風味なドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。

 第4話となる今回は、南海キャンディーズ・しずちゃんと天津・木村の「新コンビ」が登場、我らが遠藤「健さん」も漫才を披露してくれました。

(前回までのレビューはこちらから)


■愛犬家・遠藤憲一

 今回も遠藤の30年来の友人(伊藤さん)のインタビューからスタート。「彼(遠藤)の本性に迫るべく」敢行してるインタビューらしいのだが、今回はずっと遠藤の飼っていたマルチーズの話。「引退」や「俳優」からどんどん遠ざかってゆく話題。

 後ほど温泉宿で卓球に興じる遠藤に、この亡くなった犬の話題を振ると明らかに動揺し始め、何かを振り切るように力み過ぎのスマッシュを鬼の形相で連発。

 引退の真相はいまだ謎だが、とりあえず彼がかなりの愛犬家だということだけはわかった。


■『千と千尋』のモデルとウワサの旅館

 今回、遠藤改め中井田健一(派遣中居業の時の名前)、通称・健さんが訪れたのは、長野県の渋温泉。

「厄除巡浴九湯めぐり」という9つの外湯巡りが人気の歴史ある温泉。奈良時代に発見され、戦国の世には、前回の山梨・下部温泉と同じく武田信玄の隠し湯になっていたという。

 健さんが今回働く宿・金具屋は、あの『千と千尋の神隠し』の舞台の参考になっているとの説もある見事な木造4階建て。

 変わった名前だと思ったらどうやら元が鍛冶屋で、温泉が出たため鞍替えしたということらしい。

 3つの名物風呂と並んでこの宿の売りは、登録有形文化財に指定されている130畳の大広間・飛天の間。昔は芝居小屋としても使われていたというこの舞台に地方営業として出演するため、ある芸人がやってくる。

 いまいち芽の出ない漫才コンビ・ワンワンパニックだ。

 遠藤のペットのインタビューからの流れから考えると、実に悪意のあるネーミングである。

 ちなみにファミコンカセット『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』から取ったのかは、明らかにされなかった。


■ギスギスするお笑いコンビ

 しずちゃん演じる石原聡美は、舞台以外でも芸人らしく笑いを取ろうといじってくる相方のヒロト(天津・木村卓寛)に嫌気が差しており、支配人や健さんらの前でも、その不快感を隠そうとしない。

「こいつね、こんなブサイクな顔してますけど石原聡美って名前なんですよ? 聡明で美しいって書く……って、どこがやねん!」

「……(無視)」

 売れる気満々のヒロトに対し、役割を放棄し、無言を貫く聡美のギクシャクぶりが見るに耐えない。周囲が気を使うパターン。

 ヒロトは隙あらば売れようと「種」を巻き続けるタイプ。

 そしておそらく聡美は少なくとも舞台以外では割り切って「芸」を見せようとしないタイプ。

 どちらも間違いではないのだろうが、現時点では聡美の不満が燻って着火しかけてるのがわかる。

 さらに聡美には溺愛する男がおり、芸人を辞めて男と一緒になるつもりだという。

 結論から言うと、この彼氏は聡美を金ヅルとして利用していただけなのだが、電話で男に金を無心されてる姿を見てしまった健さんは、いきなり聡美に金を握らせる(おそらく1~2万円)。介入するスピードが光のように速い。

 営業のステージをすっぽかし、こっそり帰ろうとする聡美を待ち伏せし、バカを装って外湯めぐりに連れ出す健さん。聞き上手の健さんに心を開く聡美。

 いつも思うのだが、健さんはこういうとき、仲居の仕事を完全に放棄している。

 この日も夕方まで8つもの外湯を一緒に巡っており、やりたい放題。うらやましい。

 しかし、結局男の元へと去った聡美の代わりにヒロトと営業の舞台に立つ健さん。

■今回、四次元トランクから出てきたものは?

 なんでも出てくる健さんの「四次元トランク」から、今回は聡美と全く同じ舞台衣装(髪留めや蝶ネクタイまで)が。

 あらかじめ用意していたわけがあるはずないのだが、それでも出てくる。この番組唯一のファンタジー要素。

 今回は目的の服を探しているとき、トランクの中からテディベアらしきものや草鞋らしきものが飛び出しており、この「関係ない余計なもの」を見つけるのも楽しい。


■健さんの初漫才

 女装して漫才を行う健さん。

 関係ない枕からの「あーー結婚したい!」「突然やな!」。ネタへの入り方がよくある導入で笑ってしまった。

 細かくは省くが、この漫才シーンはしっかりネタ合わせして、舞台さながらに「ネタ」として披露したのだろう。

 荒いながらも新鮮なグルーブ感が出ていた。

 そして、イマイチ受けなくなってきた後半、帰ったはずの聡美が戻ってくる。

 男を振って吹っ切れたからなのか、健さんとの話で初心を思い出したからなのか、前のめりで大爆笑をとる聡美。

 だが、舞台を降りると恩人の健さんの姿はどこにもない。

「貴女の夢の足かせになっちゃいけない」と、聡美の「想い」が膨らむ前に身を引いたのだ。

 惚れさすだけ惚れさせて、置いていなくなる、西部劇のような美学。

 宿から出てきた聡美が大声で叫んだ「健さーーーん!」の声が「シェーーーン、カムバーーク!」みたいに聞こえた。

 仕事の途中で挨拶もなく派遣先からいなくなることになるが、そんなことはどうでもいいのだ。渡り鳥のように健さんは次の温泉に向かう。社会人失格なその気まぐれっぷりは、まさに「さすらい」。


■天津・木村の巧さ

 2006年に公開された映画『フラガール』以降、役者としても評価されているしずちゃんももちろんよかったが、天津・木村の「いかにもいそうな関西の若手漫才師のツッコミ」役もとてもよかった。

 相方との開きかけた距離を感じながらも、マネジャーもついてこない現場でマネジャー的な仕事もこなしつつ、割り切ったかのように相方の分まで腐らず周りに媚を売る。

 出番は決して多くないのだが、メインの邪魔をしない存在感で、的確に芝居を締めた。

 終わった後、爆笑だったことを支配人に褒められているときの、喜びながらも心の底からは喜んでいない、どこか醒めているような半・作り笑顔は、おそらく普段からしているのだろう、なんとも言えない味わいがあった。

 境目が薄れつつあるこのご時世、こんな分類に意味はないのかもしれないが、それでもコント師以上に漫才師は普段から素の部分まで微妙に「演じて」いるのだろう。そんな風に知ったかぶりたくなるくらい、自然な芝居だった。

 そして、ドラマ『火花』のときの井下好井・好井、とろサーモン・村田もそうだったが、ネタ中、片方が「本職」だと急造のコンビでもネタが締まる。

 面白い面白くない以前の、漫才として成り立ってる空気を作り出せるのが、プロならではの技術だ。

 今回の木村も、同じプロであるしずちゃん相手のときはともかく、「素人」である遠藤を、さりげなくフォロー、誘導しながら漫才として成り立たせていた。

 ただ台本のネタをやるだけでなく、観客へ見やすく橋渡しをし、呼吸をするように見所を整えながら、自然に話してるように話を運ぶのは、場数や経験がものをいうはずだ。

 木村が隙間を埋めたり諸々を担ってくれたので、急造のコンビの割に遠藤もやりやすかったのではないだろうか。

 途中から(演出的に)、意味なくエロ詩吟をやらされてしまうのでは? と、勝手にハラハラしながら見ていたが、そんな野暮なこともさせられることなく、無事役目を全うしていたのでよかったです。

 やってても、それはそれで見たかったけど。

 さて次回は法師温泉。オープニングでも使われてるあの名湯が登場。見ましょう。

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