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錦戸亮主演『トレース~科捜研の男~』、『半沢』『逃げ恥』にも共通する“ヒットの法則”とは!?

  • 2019年02月12日(火) 22:00:59
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(これまでのレビューはこちらから)

 2月4日に放映された『トレース~科捜研の男~』第5話。

 内容は、18年前の誘拐を機に行方不明となっていた女児が、現在の殺人事件の容疑者として浮上し、その真相に迫るというもの。次々と予想外な事実が発覚するスリリングな内容でありながら、ラストは感涙必至という高尚な回だった。

 今回のレビューでは、『トレース』というドラマ自体の魅力に触れつつ、2ケタ視聴率を維持する秘訣に迫っていく。さらに次週から突入する新章への期待も綴りたい。
■視聴者の本性まで炙り出す神回!!

 第5話は視聴者の引きつけ方に巧さがある。

「18年間行方不明だった女児が殺人犯!?」という切り口だけでもインパクトが強い。また、予想外の展開と共に、視聴者の善意と悪意を引き出しながら、画面にくぎ付けにする。中二病的な表現だが、前半では視聴者を天使にし、後半では悪魔にしてしまう巧妙な構造だ。

 前半は、子の無事を願う両親への共感という善意から物語にのめり込める。殺人現場に残された毛髪と、行方不明の女児のDNAが一致するところから物語は始まる。

「今娘はどこにいるのか?」「無事に生きていてほしい、けれど殺人犯であってほしくない」

 女児の両親の目線で礼二(錦戸亮)やノンナ(新木優子)の活躍を祈ることができた。

 後半は一変して、見る者に内在する悪意をくすぐる。そのターニングポイントは、女児の両親、島本彩花(矢田亜希子)と島本彰(山中聡)のDNA鑑定のくだりだろう。中盤で失踪中だった娘・ユウ(山本舞香)が警察に出頭するのだが、ユウ本人か確認するため、父・彰と母・彩花のDNAと一致するか鑑定を行う。ここで一波乱あり、彩花とは一致するも、彰とは一致しない。つまり彩花が別の男性と性的関係を結んだことになる。

 不倫をしたのか? 襲われたのか? それ以外の理由があるのか? 

 ゴシップ誌をめくるような邪な野次馬根性から、真相を知りたくなってしまう。そうして導かれたラストでは我々視聴者の涙腺を崩壊させ、善人に戻してくれる。彩花の過ちや彰の決断には賛否両論あるだろうが、18年間離れていた娘のユウが“何”によって、両親からの愛を感じていたのかは必見だ。ぜひ、見逃し配信などで確認してほしい。

 ただ、気になる点が一つ……どの回も家族愛を描いてばかりじゃないか!!

 第1話は母娘の絆。第2話は父娘の絆。第33話は娘の死と夫婦愛。第4話は兄弟愛。そして今回もまた、親子愛。

 こうして並べてみるとマンネリな作品にも見えるが、実は視聴率的な観点から言うと得策かもしれない。そう考えた理由を次章で述べる。


■高視聴率の隠し味は、ホームドラマ!?

 第5話の10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)も含め、『トレース』全話の平均視聴率は10.9%。この一年、月9で放映された、『コンフィデンスマンJP』(平均8.9%)、『絶対零度』(平均10.6%)、『SUITS』(平均10.7%)。まだ途中段階であるが、上記作品と比べても、トレースは一番の好成績を収めている。

 結果を支えているのは、前章でも触れた“家族愛”だろう。なぜ視聴率において得策なのかというと、2010年代の大ヒットドラマの共通点は、家族愛をスパイスにしているから。

『トレース』と同じ月9作品『コード・ブルー3』(2017年・フジテレビ)を見てみよう。こちらも医療ドラマでありながら、多くの回で家族愛が描かれている。メインメンバーや患者たちは、家族に関する悩みを抱えることが多かった。トレースで家族愛の描写が多いのも、同作品のヒットが影響しているのかもしれない。

 月9作品以外で例を挙げるなら、『半沢直樹』(2013年・TBS)。上司への倍返しが痛快な作品であるが、家族愛が重大な役割を担っている。半沢(堺雅人)が復讐を決意する理由は、父親の自殺。時として復讐鬼となる半沢の人間味を戻してくれるのが妻・花(上戸彩)。彼女に至ってはただの添え物にならず、半沢のピンチを何度も救うキーパーソンになっており、女性視聴者を置いてけぼりにしていないこともまた気持ちがいい。

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年・TBS)でも、“契約結婚”という切り口から多くの家族愛を見せてくれた。みくり(新垣結衣)と津崎(星野源)の障害の多くが、家族を愛する気持ちから起きる。結婚挨拶を機に両親からの愛情を知り後ろめたい気持ちになったり、叔母・百合(石田ゆり子)に契約結婚だとバレないために協力し、二人の恋が発展したりする。

 平成に入って、ホームドラマ自体の視聴率は徐々に下がり、制作本数は少なくなった。けれど、現代ではさまざまなジャンルの作品のスパイスとして家族愛は活躍している。

 真正面から「家族の愛を描く」と謳われるとくすぐったい気持ちになるが、スリリングな事件や斬新なテーマの中に家族愛がサンドされていると惹きつけられてしまう。

 愛や憎しみ、さまざまな感情が混在しても、家族を想う気持ちは平成が終わろうとしている今でも変わらないのだろう。
■次週、新章突入!! 今後の展開は?

『トレース』の場合は、視聴率のためだけに家族愛を描いたわけではなさそうだ。その理由は第5話ラストのノンナの台詞。

「礼二さんって、次男ですよね?」という一言をキッカケに、礼二の兄が自殺したことがほのめかされる。原作では第1話から、礼二の家族の事件に重きを置いている。原作のメインストリームとなっていた要素をドラマでは懐刀にし、次週から始まる新章から濃密に描いていくようだ。礼二の家族の事件に入っていけば、今まで家族愛を描いた事にも意味合いが出て来るだろう。また、今まで描かれることの少なかった小雪や千原ジュニアらの演じる人物達がどのように物語に絡むのかも楽しみである。

 ちなみに具体的なネタバレは避けるが、礼二の事件には、『半沢直樹』っぽい復讐要素が絡んでくる。倍返し要素と家族愛のスパイス、大ヒットドラマの系譜を受け継ぐ本作の第6話にも期待したい。

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